- 肛門病の歴史
- 患部図解
- 肛門の病気
- 痔核疾患
- 裂肛(れっこう)
- 痔瘻(じろう)
- その他の肛門疾患
- クローン病と肛門の病気について
- 直腸瘤(直腸膣壁弛緩症)
- 肛門掻痒症・肛門周囲炎
- 肛門周囲膿瘍
- 単純性ヘルペス
- 毛巣洞
- 乳児痔瘻
- 肛門ポリープ
- 肛門がん
- フルニエ症候群
- Paget病・Bowen病
- 肛門皮垂(スキンタグ)
肛門病の歴史
古代エジプト、バビロニアのハムラビ法典など紀元前より、肛門病の治療がおこなわれていた記録が残されている。また、ポンペイの遺跡より肛門疾患の診断、治療器具が発見されている。 中世においては、ルイ14世、ヘンリー5世が痔ろうを患っていたという話は有名で、解剖学、外科学が未発達であったため、手術後は便失禁に悩んでいたらしい。
本格的な近代医療の始まりは、1835年にロンドンにセントマークスという大腸肛門の専門病院が開設されてからである。しかし近年においても、痔核手術においてホワイトヘッド法という方法が繁用され、後遺症に悩む人は多かった。手術成績が安定してきたのは最近になってからである。 本邦では華岡青州の痔ろう手術の記録があるが、明治時代になっても肛門病の治療は門外不出の秘伝とされていたらしい。また、中国でも古くから肛門病学が発達しており、現在でも消痔霊という優れた薬がある。
患部図解

- 痔核:直腸肛門部の血行が悪くなり、血管の一部がふくれあがる
- 裂肛:硬い便によって肛門上皮がさける
- 肛門周囲膿瘍(のうよう)・痔瘻(じろう):細菌感染が原因で、うみが出る
肛門の病気
痔核疾患
内痔核・脱肛(イボ痔)
慢性的に排便時に肛門の外に飛び出してしまう病気です。内痔核というのは静脈瘤という血管のコブなのですが、大きくなると、これを支えるクッション組織というのが伸びてしまい外に出るようになるのです。ひどくなると、立ちあっがたり、歩いたりするだけで脱出し、指で中に入れないと戻りません。
通常は痛みませんが、出たままもどらないカントンという状態になると動けないほどの激痛となります。うっ血が強くなると出血し、ポタポタと真っ赤な血が便器に落ちるようになり、時として、ほとばしる様に出血し貧血も強くなります。直腸癌や大腸癌も出血で気がつくことが多く、痔でかたずけてしまうと手遅れになることがあります。きちんと検査を受けましょう。
内痔核の重症度分類
ロンドンのセントマークス病院という大腸・肛門病専門病院でできた、万国共通の重症度分類
- 1度 排便時の出血が主で脱出はない
- 2度 排便時に脱出するが自然にもどる
- 3度 手などで押し込まないともどらない状態
- 4度 押し込んでもすぐに飛び出してしまう、立ち上がったり、運動したりするだけで飛び出す状態
嵌頓(かんとん)痔核
飛び出した痔核が外にでたまま、肛門内に戻らない状態。外に出た痔核が、肛門括約筋によってぎゅっと締められることにより、うっ血し腫れ上がることによっておこる。激痛をともない、ひどくなると外に飛び出た痔核部分が壊死(くさる)してしまう。
血栓性外痔核
疲労、飲酒、過度ないきみ、スポーツなどにより、急に肛門の外側にパチンコ球のようなしこりができる。もどそうとしても、肛門の中には入らない。痛みが強い。
裂肛(れっこう)とは
裂肛、一般に「切れ痔」と呼ばれる症状は、肛門上皮(肛門出口付近の皮膚)が切れたり裂けたりする病態を指します。主に便秘や下痢による肛門への過度な負担が原因となり、排便時の痛みと出血を特徴とします。 裂肛には急性と慢性の2種類があります。急性裂肛は数日で回復しますが、慢性裂肛は繰り返す傷により潰瘍化し、持続的な痛みや肛門ポリープ、見張りイボの形成を引き起こすことがあります。さらに進行すると、肛門狭窄を引き起こす可能性もあります。 特筆すべきは、裂肛が女性、特に20~40代に多く見られる症状であることです。また、裂肛の80~90%が後方(背中側)に発生しますが、前方(腹側)の裂肛は女性に多いとされています。 軽度の裂肛は軟膏や座薬で治療可能ですが、放置や再発を繰り返すと症状が悪化する可能性があります。
急性裂肛
急性裂肛は突発的に発生し、比較的短期間で回復する傾向があります。主な症状は排便時のピリッとした痛みと軽度の出血です。多くの場合、適切な治療と生活・排便習慣の改善により、手術せずに治癒が可能です。
慢性裂肛
一方、慢性裂肛は急性裂肛が適切に治療されずに長期化したものです。繰り返し同じ場所に裂傷が生じ、次第に傷が深くなり、潰瘍化することがあります。慢性化すると、以下のような合併症が起こる可能性があります。
- 肛門ポリープや見張りイボの形成
- 肛門狭窄(肛門が狭くなる状態)
- 肛門潰瘍
- 内肛門括約筋への損傷
- まれに痔瘻(痔ろう)への進展
慢性裂肛では、肛門が狭くなることで排便がさらに困難になり、症状が悪化する悪循環に陥ることがあります。このような場合、外科的治療が必要になることがあります。早期発見と適切な治療が重要であり、症状が持続する場合は専門医への相談が推奨されます。多くの場合、保存的治療や生活習慣の改善で症状の改善が見込めます。
裂肛の原因
裂肛(切れ痔)の主な原因は、便の性状と排便習慣に関連しています。具体的には以下の要因が挙げられます。
- 慢性的な便秘:硬い便や太い便の通過により肛門に過度の負担がかかります。
- 激しい下痢:勢いの強い下痢便が肛門を刺激し、損傷を引き起こします。
- 強いいきみ:排便時の過度な力みが肛門に圧力をかけます。
これらの要因は、特に女性に多く見られます。その背景には以下のような事情があります。
- ダイエットによる食事制限や偏り
- 食物繊維の不足
- 水分摂取不足
- 腸の働きの低下
また、体質的に肛門が狭い場合や、クローン病などの炎症性腸疾患がある場合も裂肛のリスクが高まります。慢性化すると肛門狭窄を引き起こし、さらに裂肛が起こりやすくなるという悪循環に陥る可能性があります。
裂肛の慢性化
裂肛は適切な治療を受けずに放置すると、慢性化の過程を辿ります。
初期段階
- 肛門の皺に沿って縦方向の浅い裂傷が発生
- 排便後5分程度の短時間の痛みと軽度の出血
繰り返しの損傷
- 同じ箇所で裂傷が繰り返し発生
- 傷が徐々に深くなり、潰瘍化
慢性裂肛の形成
- 裂傷の両端に肛門ポリープや見張りイボ(スキンタグ)が形成
- 裂傷の縁が肥大する(硬くもりあがる)
- 排便時の痛みが強くなり、持続時間も延長、潰瘍が深くなり治りにくくなる
瘢痕化
- 慢性裂肛が治癒過程で線維組織(瘢痕組織)となる
- 瘢痕は柔軟性がなく、肛門管の伸展性を低下、皮膚や粘膜が硬く厚くなる
肛門狭窄の発生
- 瘢痕組織の形成により肛門管の直径が狭くなる
- 便が細くなり、排便困難が生じる
悪循環の確立
- 強い痛みによる排便回避
- 便秘の悪化と便の硬化
- さらなる裂傷と潰瘍化
慢性化した裂肛では、毎回の排便時に強い痛みを伴い、その痛みは長時間持続します。また、便器が真っ赤になるほどの出血を伴うこともあります。この状態は日常生活に大きな支障をきたすため、早期の適切な治療が重要です。
痔瘻(じろう)とは
お尻から膿が出て下着に付着したり、押すと痛みが生じたりするような症状がある場合、痔瘻の可能性が考えられます。痔瘻とは、肛門周囲に膿が溜まる肛門周囲膿瘍が慢性化し、皮膚に穴が開いて膿が排出される状態です。 この疾患は、発熱を伴うことも多く、お尻に痛みが出ることがあります。放置するとがんを引き起こすリスクもあるため、早めの対応が重要です。 長期間放置すると、瘻管が枝分かれして症状が悪化する可能性があります。さらに、まれではありますが「痔瘻癌」に発展する危険性もあります。
痔瘻の種類
痔瘻は主に単純痔瘻と複雑痔瘻に分類されます。
単純痔瘻
単純痔瘻は肛門の奥の小さな穴(原発口)から皮膚の表面(二次口)まで、途中で枝分かれせずに一本の単純なトンネル(瘻管)ができた痔瘻(あな痔)の事です。一般的に低位筋間痔瘻がこれに該当し、比較的浅く根治しやすいタイプですが、放置すると複雑化することもあります。全体の約7~8割を占め、内括約筋と外括約筋の間を比較的単純な瘻管が走行します。
複雑痔瘻
一方、複雑痔瘻は瘻管が複数存在したり、外肛門括約筋の外側に伸びたりする状態を指し、トンネルが枝分かれしたり、深部に及んだりする治りにくい痔瘻のタイプのものです。 肛門周囲膿瘍の段階では、激しい痛みを伴う腫れや38度を超える発熱が特徴的です。痔瘻は、イボ痔や切れ痔と異なり市販薬では治療できず、手術が必要となります。長期間放置すると、瘻管が複雑化し、まれに「痔瘻癌」に発展する危険性もあります。そのため、症状に気づいたら速やかに専門医の診察を受けることが極めて重要です。
痔瘻の原因
肛門には肛門腺という分泌腺の出口である、肛門陰窩と呼ばれる小さな窪みがあります。この部分に便や細菌が入り込むことで炎症が起こり、腫れや化膿を伴って膿が溜まると、肛門周囲膿瘍が発生します。 膿が出口を求めて皮膚の内側へと進行すると、細く長いトンネル状の通路が形成され、そこを通じて膿が体外へ排出されます。膿が出ることで発熱や痛みは一時的に治まりますが、トンネル状の穴は残ったままとなり、痔瘻へと移行します。 痔瘻は自然に治癒することはなく、残った通路が細菌感染を繰り返すことで複雑に枝分かれすることがあります。状態が進行すると、手術の負担が大きくなるだけでなく、放置することで稀ではありますががんを引き起こすリスクもあるため、早期の対応が重要です。
痔瘻のリスク
痔瘻の最も重大なリスクの一つに、痔瘻がんの発生があります。これは非常にまれではありますが、長期間放置された痔瘻で起こる可能性がある深刻な合併症です。 特に10年以上継続している深部の痔瘻では、がん化のリスクが高まります。痔瘻がんは、慢性の炎症部位が悪性化して発生すると考えられています。症状の変化のないことが多く放置しないで早めに専門医を受診してください。 痔瘻がんは、進行すると肛門や直腸の全摘出が必要になる可能性もあります。このため、痔瘻の早期発見と適切な治療が極めて重要です。 ただし、すべての痔瘻ががん化するわけではありません。過度に心配する必要はありませんが、症状が続く場合は速やかに専門医の診察を受けることが賢明です。

クローン病と肛門の病気について
クローン病は、消化管全体に慢性的な炎症が広がる疾患で、口腔から肛門までのあらゆる部位に病変が現れる可能性があります。原因は未解明であり、厚生労働省によって指定難病に分類されています。若年層、特に10代~30代の発症が多く、肛門疾患を伴うケースも少なくありません。
この病気では、小腸や大腸に炎症が集中する傾向があり、粘膜が傷ついて潰瘍が形成されることがあります。主な症状としては、発熱、腹痛、下痢、血便、体重の減少などが挙げられます。また、クローン病は腸以外の部位にも影響を及ぼしやすく、特に肛門周辺の疾患を併発することが多いのが特徴です。
肛門の異常からこの病気が見つかることもあり、具体的には痔瘻、裂肛、肛門皮垂、肛門周囲膿瘍、女性に特有の肛門膣瘻などが報告されています。これらの症状がある場合は、早期の診断と治療が重要です。
クローン病と伴って起こる肛門病変
クローン病に伴って現れる肛門の異常には、初期段階で潰瘍や裂肛などが生じやすいとされており、これらは「一次病変」と呼ばれます。クローン病による裂肛は、損傷の範囲が広く、周囲の粘膜が腫れていることが特徴です。
こうした一次病変が悪化すると、瘻孔(管状の通路)や細菌感染をきっかけに、痔ろうや肛門周囲膿瘍、肛門膣瘻、肛門狭窄、肛門皮垂などの「二次病変」が引き起こされることがあります。中でも痔ろうはクローン病の合併症として頻度が高く、瘻孔が複雑に枝分かれしながら進行する傾向があります。
肛門病変によりクローン病が疑われるケース
肛門に痔ろうを繰り返し発症している方や、若年層で痔ろうを経験した方は、クローン病の可能性が考えられます。そのため、大腸内視鏡検査を受けておくことが推奨されます。
クローン病による肛門病変の治療方法
まずはクローン病という根本的な疾患への対応を最優先とし、薬による治療を通じて炎症や症状の軽減を図ります。症状が安定してきた段階で、痔ろうに対する外科的処置を検討する流れとなります。
痔ろうの背景にクローン病があることに気付かず治療を進めてしまうと、根本的な改善には繋がらず、再発するリスクが高まります。そのため、まずはクローン病のコントロールを重視し、患者様の症状や病状の進行度に応じて、最も適した治療計画を立てていくことが重要です。
その他の肛門疾患
直腸瘤(直腸膣壁弛緩症)
この疾患は女性に特有のもので、直腸と膣の間にある壁が弱くなることで、前方の直腸と腟で形成される壁の一部が膣方向へ突出し、排便が困難になる状態です。その結果、便秘や排便後の残便感などが生じるようになります。
主な症状としては、便意があるのに排便がスムーズにできない、すっきりしない感じが続く、慢性的な便秘、会陰部の膨らみ(排便の息みで腟からピンポン玉大に飛び出す)などが挙げられます。
治療には、まず排便習慣や生活スタイルの見直し、薬による症状の緩和など保存的な方法が用いられます。症状が改善しない場合には手術が検討され、肛門側・膣側・会陰部からのアプローチの中から、患者様の状態に応じて最適な術式が選ばれます。
肛門掻痒症・肛門周囲炎
主に、湿疹・アレルギー性皮膚炎が原因となります。
皮膚が敏感な体質の方では、汗や摩擦によってかぶれやすくなる傾向があります。真菌症(白癖菌などカビの仲間)に感染して難治性の皮膚炎になる場合がある他、女性の場合はカンジダ菌の影響が肛門周辺に及ぶこともあるため注意が必要です。かゆみが続く、違和感があるといった症状が見られた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
肛門掻痒症・肛門周囲炎
主に、湿疹・アレルギー性皮膚炎が原因となります。
皮膚が敏感な体質の方では、汗や摩擦によってかぶれやすくなる傾向があります。真菌症(白癖菌などカビの仲間)に感染して難治性の皮膚炎になる場合がある他、女性の場合はカンジダ菌の影響が肛門周辺に及ぶこともあるため注意が必要です。かゆみが続く、違和感があるといった症状が見られた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
肛門周囲膿瘍
肛門周りに激しい痛みや腫れ、発熱などの症状が現れる疾患で、多くは痔瘻に移行します。そのため、できるだけ早期に治療を開始することが重要です。治療では、膿が溜まった部分を切開して排出することで、症状の緩和が期待できます。ただし、自然に治る場合もありますが、痔瘻へと進行した場合、根治術が必要となります。
単純性ヘルペス
ヘルペスウイルスの感染によって引き起こされる疾患で、肛門周りに痛みを伴う小さな水疱が複数出現するのが特徴です。一度症状が治まっても、体内に潜伏したウイルスが疲労やストレスなどをきっかけに再活性化し、繰り返し発症する傾向があります。治療には内服薬や外用薬が用いられます。
毛巣洞
尾骶骨付近の皮膚の下に毛が入り込み、そこに細菌が繁殖して膿が溜まることで発症する疾患です。特に体毛が濃い男性に多く見られる傾向があり、根本的な治療には外科的な処置が必要となります。
乳児痔瘻
成人の痔瘻と比べ成長に伴って自然に治癒するケースが多いとされていますが、経過によっては手術が必要となります。そのような場合には、専門性の高い医療機関で診てもらう必要があります。
肛門ポリープ
大半は慢性的な裂肛により発生するポリープですが、内痔核の脱出と合併することもあります。通常気付きにくいですが、肛門外に突出することで存在に気づくことがあります。
治療の基本は、ポリープの原因となっている裂肛や内痔核への対応を優先することです。ポリープ自体が大きくなっている場合には、外科的な切除を検討することもあります。
肛門がん
偏平上皮がん、腺がんなどありますが、長期間治療されなかった痔ろうから発生する場合もあります。症状としては、肛門の痛み、出血、便の形状が細くなるなどがあり、治療は外科的手術、化学療法、放射線治療などがあります。
フルニエ症候群
肛門周囲膿瘍、膿皮症などから細菌感染が広がることによって起こる急性の壊死性筋膜炎で、皮膚や泌尿器、生殖器、直腸・肛門周辺に急激な炎症と組織壊死を引き起こす重篤な疾患です。発症頻度は低いものの、進行が非常に速く、死亡率が高いため、早期の対応が極めて重要です。
患者の多くは男性で、糖尿病・腎機能障害・アルコール依存症などの基礎疾患を抱えている場合、発症リスクが高まる傾向があります。
フルニエ症候群の症状
外陰部や肛門の周りに激しい腫れや鋭い痛み、熱発が現れ、組織の壊死が進行する危険性があります。壊死が起きた際には、独特の酸味のあるドブの様な臭いが生じることが知られており、これも症状の1つです。
この疾患は進行が非常に速いため、腫れや強い痛みを感じた段階で、すぐに医療機関を受診することが極めて重要です。治療では、膿を排出し、壊死した組織を丁寧に除去する処置が行われます。
Paget病・Bowen病
Paget病は汗器官由来の表皮内がん、Bowen病は表皮内に発生する扁平上皮がんです。pagetは他の臓器のがんと合併することがあり早期受診と治療が重要です。主な症状としては、肛門周囲にかゆみや赤み、湿った感触などが現れ、一般的な皮膚炎と誤認されることもあります。皮膚科での治療を受けても改善が見られない場合には、専門的な診察を受けることをお勧めします。
Paget病は湿疹のような赤みを帯びた皮膚変化が特徴です。一方、Bowen病は赤褐色の平坦な隆起として現れ、いずれも外科的な治療が必要となります。
肛門皮垂(スキンタグ)
肛門皮垂とは、肛門のまわりにできる皮膚のたるみや突起のことを指します。多くは、切れ痔、肛門周囲の炎症や腫れが治まったあとに、皮膚が元に戻らず余剰として残ることで生じ、形や大きさには個人差がありますが、小さな前方の皮垂は女性の60%に存在します。
多くの肛門皮垂は病気ではないため、痛みや出血はなく、治療を必要としないことがほとんどですが、違和感やかゆみ、排便後の拭き取りにくさ、見た目が気になるといった症状を伴う場合があります。また、炎症を繰り返すことで腫れや不快感が出ることもあります。
診察では、肛門皮垂かどうかを確認するとともに、痔など他の肛門疾患が隠れていないかを調べます。症状が軽度で日常生活に支障がない場合は、排便習慣の改善や肛門周囲を清潔に保つといった保存的な対応で経過観察を行います。
一方で、違和感が強い場合、炎症を繰り返す場合、排便後の拭き取りが困難な場合、見た目が気になる場合などには、切除する治療を行うことがあります。
