食道静脈瘤とは
食道静脈瘤の症状
食道静脈瘤の最も重要な特徴は、破裂するまで無症状であることです。この疾患は、食道や胃の静脈が風船のように膨らみ、壁が薄くなって非常に破裂しやすい状態となります。ただし、背景にある肝硬変によって、手のひらが赤くなる、胸部の血管が浮き出る、疲労感や倦怠感、黄疸といった症状が現れることがあります。静脈瘤が破裂した場合、大量の吐血や黒色便(下血)として症状が現れ、出血性ショックを引き起こす可能性があります。特に深刻なのは、もともと肝硬変により体力が低下している状態での出血であるため、止血に成功しても肝不全を併発するリスクが高いことです。そのため、食道静脈瘤破裂による死亡率は約10%、胃静脈瘤破裂では約50%と報告されており、早期発見と適切な治療が重要な疾患といえます。
食道静脈瘤の原因
食道静脈瘤は主に「門脈圧亢進症」が原因となって発症します。この症状は、B型肝炎やC型肝炎、アルコール、脂肪性肝炎(NASH)などによって慢性肝炎が持続し、肝臓が線維化して硬くなる肝硬変を引き起こすことで始まります。肝硬変により肝臓が硬化すると、門脈から肝臓への血液の流れが滞り、門脈の血圧が上昇します。これが門脈圧亢進症です。すると、行き場を失った血液は別のルートを探して流れるようになり、その代替経路の一つが食道の血管となります。本来よりも多くの血液が食道の血管に流れることで、血管が瘤(こぶ)状に膨らみ、壁が薄くなっていきます。このように形成された食道静脈瘤の破裂は、肝硬変における三大死因の一つとなっており、適切な管理と治療が必要な深刻な合併症です。
食道静脈瘤の治療法
食道静脈瘤の治療は、破裂を予防することが最も重要です。診断には主にX線造影検査(バリウム検査)や上部消化管内視鏡検査が用いられ、定期的な観察によって静脈の状態変化を監視します。治療の中心となるのは内視鏡を用いた二つの方法です。一つは内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)で、静脈瘤を専用の輪ゴムで結紮して血流を止める方法です。侵襲が少なく、出血時の治療にも対応できますが、再発率がやや高いという特徴があります。もう一つは内視鏡的硬化療法(EIS)で、血管内または周辺粘膜に直接硬化剤を注入する方法です。確実な効果が期待できますが、重度の肝障害や腎障害がある場合には適用できないことがあります。近年では、これらの治療法を組み合わせて行うケースも増えています。また、一部の降圧剤による予防療法の有効性も報告されており、状況に応じて適切な治療法が選択されます。

食道静脈瘤は、食道の粘膜内や粘膜下層にある静脈が異常に拡張し、瘤(こぶ)状に膨らんだ状態を指します。主に肝硬変によって引き起こされる門脈圧亢進症が原因となり、普段は血流量が少ない食道の静脈に過度な圧力がかかることで発症します。この症状は肝硬変患者の約7割に見られ、胃の静脈にも同様の症状(胃静脈瘤)が現れることがあります。最も重要な点は、静脈瘤が発達すると破裂のリスクが高まり、消化管内で大出血を引き起こす可能性があることです。現代の進んだ医療技術をもってしても、破裂時の死亡率は約20%と深刻な状態であり、そのため医師が破裂の危険性があると判断した場合には、予防的な治療を行うことが推奨されます。肝不全、肝がんとともに、静脈瘤出血は肝硬変における三大死亡原因の一つとされています。