Anal fistula 痔瘻(痔ろう)

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痔瘻(痔ろう)とは

お尻から膿が出て下着に付着したり、押すと痛みが生じたりするような症状がある場合、痔瘻の可能性が考えられます。痔瘻とは、肛門周囲に膿が溜まる肛門周囲膿瘍が慢性化し、皮膚に穴が開いて膿が排出される状態です。
この疾患は、発熱を伴うことも多く、お尻に痛みが出ることがあります。放置するとがんを引き起こすリスクもあるため、早めの対応が重要です。
長期間放置すると、瘻管が枝分かれして症状が悪化する可能性があります。さらに、まれではありますが「痔瘻癌」に発展する危険性もあります。

痔瘻の種類

痔瘻は主に単純痔瘻と複雑痔瘻に分類されます。

単純痔瘻

単純痔瘻は肛門の奥の小さな穴(原発口)から皮膚の表面(二次口)まで、途中で枝分かれせずに一本の単純なトンネル(瘻管)ができた痔瘻(あな痔)の事です。一般的に低位筋間痔瘻がこれに該当し、比較的浅く根治しやすいタイプですが、放置すると複雑化することもあります。全体の約7~8割を占め、内括約筋と外括約筋の間を比較的単純な瘻管が走行します。

複雑痔瘻

一方、複雑痔瘻は瘻管が複数存在したり、外肛門括約筋の外側に伸びたりする状態を指し、トンネルが枝分かれしたり、深部に及んだりする治りにくい痔瘻のタイプのものです。

 

肛門周囲膿瘍の段階では、激しい痛みを伴う腫れや38度を超える発熱が特徴的です。痔瘻は、イボ痔や切れ痔と異なり市販薬では治療できず、手術が必要となります。長期間放置すると、瘻管が複雑化し、まれに「痔瘻癌」に発展する危険性もあります。そのため、症状に気づいたら速やかに専門医の診察を受けることが極めて重要です。

痔瘻の原因

肛門には肛門腺という分泌腺の出口である、肛門陰窩と呼ばれる小さな窪みがあります。この部分に便や細菌が入り込むことで炎症が起こり、腫れや化膿を伴って膿が溜まると、肛門周囲膿瘍が発生します。
膿が出口を求めて皮膚の内側へと進行すると、細く長いトンネル状の通路が形成され、そこを通じて膿が体外へ排出されます。膿が出ることで発熱や痛みは一時的に治まりますが、トンネル状の穴は残ったままとなり、痔瘻へと移行します。
痔瘻は自然に治癒することはなく、残った通路が細菌感染を繰り返すことで複雑に枝分かれすることがあります。状態が進行すると、手術の負担が大きくなるだけでなく、放置することで稀ではありますががんを引き起こすリスクもあるため、早期の対応が重要です。

痔瘻のリスク

痔瘻の最も重大なリスクの一つに、痔瘻がんの発生があります。これは非常にまれではありますが、長期間放置された痔瘻で起こる可能性がある深刻な合併症です。
特に10年以上継続している深部の痔瘻では、がん化のリスクが高まります。痔瘻がんは、慢性の炎症部位が悪性化して発生すると考えられています。症状の変化のないことが多く放置しないで早めに専門医を受診してください。
痔瘻がんは、進行すると肛門や直腸の全摘出が必要になる可能性もあります。このため、痔瘻の早期発見と適切な治療が極めて重要です。
ただし、すべての痔瘻ががん化するわけではありません。過度に心配する必要はありませんが、症状が続く場合は速やかに専門医の診察を受けることが賢明です。

痔瘻の手術方法について

痔瘻の治療にあたっては、膿が通る管状の通路が肛門括約筋を貫いていることに十分な配慮が必要です。肛門括約筋は排便機能を支える重要な筋肉であるため、痔瘻の位置や形状を正確に把握したうえで、括約筋を損傷を少なくする様慎重に手術を行う必要があります。そのため、痔瘻の手術には高度な技術と専門的な知識を持つ医師の対応が求められます。

瘻管切開開放術

瘻管を切開し、そのまま開いた状態で治癒を促す方法です。「lay open法」とも呼ばれています。肛門の後方にある括約筋に痔瘻ができた場合、この治療法を行うと括約筋への影響が少なく、排便機能に支障をきたす心配がほとんどないとされています。
比較的浅い痔瘻に適しており、高い治療効果が期待できるうえ、完治を目指せる可能性が高くなります。再発のリスクも1〜2%程度と低めです。

括約筋温存術(くりぬき法)

肛門括約筋への影響を最小限に抑えながら行う治療法で、「くりぬき法」とも呼ばれています。様々に工夫された、いくつかの術式があります。当院で考案され学会で注目を集めたオリジナルの術式もあります。

シートン法

専用のゴム製器具や紐状の医療器具を瘻管の入口から出口に通し、徐々に締めていくことで治療を進める方法です。瘻管と肛門括約筋を少しずつ切開していきながら症状の改善を図るため、肛門の形状が大きく変わらないという利点があります。

手術方法の選択は、瘻管の位置や深さ、複雑さによって決定されます。いずれの方法も、再発のリスクや術後の肛門機能への影響を考慮しながら、個々の患者さんに最適な方法が選ばれます。また、治療後は適切な排便コントロールが重要で、再発予防のために生活習慣の改善も必要です。

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