萎縮性胃炎とは
萎縮性胃炎の症状
萎縮性胃炎を始め、上部消化管の不調は共通して多くの症状を引き起こします。具体的には、以下のような症状が見られます。
- 胸焼け
- 腹部膨満感
- 食欲不振
- 胃痛
- 吐き気
- 胃もたれ
- げっぷ
- 空腹時の胸やけ
- 食後のムカムカ感
これらは慢性胃炎に限った症状ではなく、胃潰瘍や胃がんでも同様に現れることがあるため、正確な鑑別診断が必要です。胃の粘膜の炎症の程度が症状の強さに直結するわけではなく、ストレスなど心因性の要因が影響を与えることもあります。
また、無症状の場合でも健康診断や人間ドックで慢性胃炎が判明することもあり、定期的な検査の重要性が強調されます。特に、特有の自覚症状に乏しい萎縮性胃炎は気づかないうちに進行する傾向があるため、定期的な胃カメラ検査が重要です。
萎縮性胃炎の原因
萎縮性胃炎は、主にヘリコバクター・ピロリ菌感染による慢性胃炎が原因となることが多いです。この細菌は胃の粘膜に住みつき、胃粘液の分泌を減少させることで胃炎や胃潰瘍を引き起こし、結果的に胃粘膜が痩せて萎縮します。この状態は胃の前庭部から始まり、B型胃炎として分類されます。ピロリ菌はウレアーゼという酵素を使って胃酸を中和し、過酷な胃内環境で生息できる特性を持っています。その感染は幼少期に不衛生な食物や水を介して起こり、特に60代以上の方に感染が多いとされています。
また、萎縮性胃炎には自己免疫によって引き起こされるタイプもあります。これを自己免疫性胃炎と呼び、免疫系が自分の胃の細胞を攻撃することで胃体部から萎縮が進行します。これはA型胃炎として知られ、発症頻度は高くありませんが、胃がんのリスクを同様に増加させる可能性があります。両タイプともに、適切な診断と治療が重要です。
萎縮性胃炎の治療法
胃粘膜の萎縮を特徴とする萎縮性胃炎は、一度進行してしまうと完全に元の状態に戻すことは難しいと言われています。特にピロリ菌が関与している場合が多く、この菌の感染が確認された場合には「除菌治療」が重要です。
除菌治療は、2種類の抗生物質と胃酸抑制剤を1週間服用することで行われます。初回治療での成功率は75%程度で、必要に応じて2回目の治療を行います。治療成功後も、胃がんのリスクを完全に排除することはできないため、定期的な胃カメラ検査が推奨されます。
また、ピロリ菌以外が原因の慢性胃炎の場合は、症状に応じた薬物療法が行われ、胃酸抑制剤や胃粘膜保護剤、運動機能調整剤などが使用されます。特に自覚症状のない場合には、経過観察が主体となりますが、いずれにしても定期的な経過観察が病変の進行を防ぐ鍵となります。

萎縮性胃炎は、胃の粘膜に慢性的な炎症が起こり、これが適切な治療を受けずに進行すると、胃の粘膜が徐々に薄くなり、萎縮してしまう状態です。この過程では、胃の重要な機能を担っている固有腺が減少したり、消失したりすることがあります。
胃の粘膜が萎縮することで、食物の消化や侵入細菌を退治するための胃酸、消化酵素を含む「胃液」の分泌機能が衰え、健康な胃の環境が損なわれます。さらに萎縮が進行すると、「腸上皮化生」と呼ばれる腸の粘膜に似た上皮が形成されることがあり、これは胃がんの発症リスクを高める要因となります。
胃カメラによる内視鏡検査では、薄くなった胃粘膜により血管が透けて見える状態が観察されることがありますが、これはがんの発生しやすい状態なため微小がんなどを発見する注意が必要です。したがって、違和感や症状が長引く場合には早期に専門医に相談し、適切な診断と治療を受けることが重要です。