クローン病とは
クローン病の症状
クローン病は、口腔から肛門までの消化管全体に炎症や潰瘍を引き起こす慢性疾患です。主な症状には下痢、腹痛、発熱、体重減少、肛門病変などがありますが、症状の現れ方は病変の位置によって異なります。
特徴的な合併症として、腸管穿孔、狭窄、瘻孔形成、肛門周囲膿瘍、痔瘻などが挙げられます。また、関節炎、虹彩炎、結節性紅斑といった腸管外症状も見られることがあります。
病状は再燃と寛解を繰り返すことが多く、寛解期でも炎症が持続していることがあります。そのため、症状が落ち着いていても定期的な検査と治療の継続が重要です。
長期経過例では大腸がんや肛門管がんのリスクが高まるため、定期的な大腸内視鏡検査による経過観察が推奨されます。
早期発見と適切な治療により、症状のコントロールと合併症の予防が可能です。肛門部症状が長引く場合や原因不明の消化器症状が続く場合は、専門医への相談が望ましいでしょう。
クローン病の原因
クローン病の明確な原因は現在も解明されていませんが、複数の要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。主な要因として、遺伝的素因が背景にあり、それに環境因子が加わることで発症リスクが高まると推測されています。
環境因子としては、腸内細菌叢の変化、食事(特に動物性脂肪やタンパク質の過剰摂取)、ウイルス感染、腸管の微小血管の血流障害などが挙げられています。これらの要因が相互に作用し、腸管内の免疫細胞が過剰に反応することで、炎症や潰瘍が引き起こされると考えられています。
クローン病は先進国で多く見られることから、食生活の欧米化との関連も指摘されています。高脂肪食や高タンパク食が発症リスクを高める可能性があるため、バランスの取れた食事を心がけることが重要です。
現在も原因究明のための研究が進められており、今後さらなる解明が期待されています。発症メカニズムの理解が進むことで、より効果的な予防法や治療法の開発につながる可能性があります。
クローン病の治療法
クローン病の治療は、栄養療法、薬物療法、外科治療を組み合わせて行います。現在、完治させる方法はないため、症状の抑制と寛解期の維持が主な目標となります。
栄養療法では、経腸栄養や静脈栄養を用いて必要な栄養を補給し、腸管の炎症を抑制します。薬物療法では、5-アミノサリチル酸製剤、ステロイド、免疫調節薬、生物学的製剤などを使用して炎症を抑えます。症状が改善しても、再発予防のため継続的な服薬が必要です。
合併症として腸閉塞、瘻孔、膿瘍などが生じた場合は、外科手術や内視鏡治療が検討されます。手術では腸管温存に努めます。
日常生活では、個々の患者に適した食事療法が重要です。一般的に低脂肪・低残渣食が推奨されますが、具体的な内容は医師や栄養士と相談して決定します。また、禁煙やストレス管理も大切です。
症状が落ち着いていても定期的な受診と治療の継続が重要で、長期的な寛解維持を目指します。患者それぞれの状況に応じた適切な治療法の選択と、生活習慣の管理が求められます。

クローン病は、消化管全体に炎症や潰瘍を引き起こす炎症性腸疾患の一つです。潰瘍性大腸炎が主に大腸に限局するのに対し、クローン病は口腔から肛門まで、消化管のあらゆる部位に症状が現れる可能性があります。特徴的な病変として、縦走潰瘍や敷石状病変、非連続性の潰瘍が挙げられます。
病変の主な発生部位により、小腸型、小腸・大腸型、大腸型の3つに分類されますが、最も多いのは回腸と大腸です。10〜30代の若年層、特に男性に多く発症し、男女比は約2:1です。
日本では難病指定されており、患者数は年々増加傾向にあります。現在、国内の患者数は約7万人と推定されています。原因は明確にはわかっていませんが、遺伝的要因や環境要因が関与していると考えられています。