肛門の病気の種類
case
患部図解
痔核疾患
内痔核・脱肛(イボ痔)
慢性的に排便時に肛門の外に飛び出してしまう病気です。内痔核というのは静脈瘤という血管のコブなのですが
大きくなると、これを支えるクッション組織というのが伸びてしまい外に出るようになるのです。ひどくなると、立ちあっがたり、歩いたりするだけで脱出し、指で中に入れないと戻りません。
通常は痛みませんが、出たままもどらない カントン という状態になると動けないほどの激痛となります。うっ血が強くなると出血し、ポタポタと真っ赤な血が便器に落ちるようになり、時として、ほとばしる様に出血し貧血も強くなります。直腸癌や大腸癌も出血で気がつくことが多く、痔でかたずけてしまうと手遅れになることがあります。きちんと検査を受けましょう。
内痔核の重症度分類
ロンドンのセントマークス病院という大腸・肛門病専門病院でできた、万国共通の重症度分類
1度 排便時の出血が主で脱出はない
2度 排便時に脱出するが自然にもどる
3度 手などで押し込まないともどらない状態
4度 押し込んでもすぐに飛び出してしまう、立ち上がったり、運動したりするだけで飛び出す状態
嵌頓(かんとん)痔核
飛び出した痔核が外にでたまま、肛門内に戻らない状態。外に出た痔核が、肛門括約筋によってぎゅっと締められることにより、うっ血し腫れ上がることによっておこる。激痛をともない、ひどくなると外に飛び出た痔核部分が壊死(くさる)してしまう。
血栓性外痔核
疲労、飲酒、過度ないきみ、スポーツなどにより、急に肛門の外側にパチンコ球のようなしこりができる。もどそうとしても、肛門の中には入らない。痛みが強い。
裂肛(れっこう)
硬い便が出て裂けた経験のある人は、非常に多いと思います。通常は便がいつも硬いわけではないので、自然に治ってしまうのです。しかしながら、これが慢性化すると激痛のため便が出せなくなり、ますます便秘がひどくなり、硬便を繰り返すうちに肛門上皮というところに深い潰瘍をつくることになります。
その結果、ポリープができたり、肛門がひきつれ、肛門狭窄 という、ひどい場合、鉛筆も入らないような狭い肛門になってしまいます。
痔瘻(じろう)
肛門の中のほうに、肛門小窩(こうもんしょうか)という、くぼみがあります。この部位に細菌感染がおきると、激痛が生じ高熱がでることがあります。この状態になると膿が、肛門の周囲や、直腸の周囲、重症な場合、骨盤のなかに大量にたまってしまい、生命にかかわる事もあります。
この状態を、 肛門周囲膿瘍あるいは 直腸周囲膿瘍といいます。すぐに切開し膿を出す必要があります。これが、慢性化した状態を痔瘻といいますが、肛門の中から管がでてきてしまい肛門の外側の皮膚から、膿が出るようになります。
痔瘻の管は、単純なものから、深部におよび、きわめて複雑化するものがあり、やがて肛門癌に発展する場合があります。
その他の肛門疾患
直腸脱
高齢者の女性に多い病気ですが、まれに骨盤挙筋の未発達な若年者にも発生することがあります。主に排便時に握り拳ぐらいに、大きく肛門の外に飛び出します。治療は手術しかありませんが、年齢によっても適切な方法を選択する必要があります。
直腸瘤(りゅう)
直腸膣壁弛綬症ともいいます。直腸と膣のあいだの壁がゆるんでしまい、排便の時、力を入れても膣のほうに圧力が逃げてしまい,うまく便が出せなくなってしまう病気です。出口症候群の1つです
肛門周囲炎
極度のかゆみを伴い、かいてるうちに肛門の回りに小さな傷がたくさんできてしまいます。真菌というカビによって皮膚炎をおこすことも多く、時として治りにくい場合があります。
単純性ヘルペス
肛門の周囲に水ぶくれ状の発疹ができてしまい、痛みを伴います。ヘルペスというウイルス感染でおこり、投薬で治ります。
尖型(せんけい)コンジローマ
パピローマウイルスによってできる病気です。あせもの様な小さいものから、放置するとすぐに増えてカリフラワーの様な大きなコブになってしまうので、なるべく早めに、切除や焼灼(しょうしゃく)し取り去ることが必要です。最近、ベセルナ軟膏というお薬による治療が可能となりました。